退職夫婦の医療保険選びは、将来の医療費負担軽減と安心な老後生活の基盤です。公的医療保険制度を踏まえつつ、個々の健康状態や経済状況に合わせた最適な民間保険の検討が不可欠です。早期の準備が、より充実したセカンドライフを約束します。
1. リタイア後に変わる日本の公的医療保険
会社を退職すると、これまでの「健康保険(被用者保険)」から、主に「国民健康保険(国保)」、あるいは「健康保険の任意継続」のいずれかを選択することになります。夫婦一方が被扶養者であった場合、国保では世帯単位ではなく一人ひとりに保険料がかかる点に注意が必要です。
国民健康保険と任意継続、どちらがお得?
一般的に、退職後2年間は「任意継続」が可能な場合があります。保険料の上限があるため、現役時代の給与が高かった方は任意継続の方が安くなる傾向がありますが、国保は前年度の所得に応じて決まるため、退職2年目からは国保の方が安くなるケースが多々あります。毎年、自治体の窓口で試算を依頼することが賢明です。
2. 75歳の壁:後期高齢者医療制度への移行
夫婦のどちらかが75歳になると、それまでの保険から自動的に「後期高齢者医療制度」へと切り替わります。窓口負担は原則1割(現役並み所得者は3割、一定以上の所得がある場合は2割)となります。この段階で、これまでの民間医療保険が本当に必要かどうかを見直す「終活」ならぬ「保険活」が重要です。
3. 民間医療保険で補うべき「3つの空白」
日本の公的保険は優秀ですが、以下の3点は全額自己負担となるため、民間保険での備えが有効です。
- 差額ベッド代: プライバシーを守るための個室費用は、公的保険の対象外です。長期入院では100万円単位の出費になることもあります。
- 先進医療費用: 重粒子線治療などの先進医療は、技術料だけで数百万円かかる場合があります。これは「先進医療特約」で月数百円から備えられます。
- 介護・生活支援: 医療費そのものよりも、退院後の在宅介護やリフォーム費用が家計を圧迫します。
4. 夫婦で考える「高額療養費制度」の活用
「高額療養費制度」により、1ヶ月の医療費負担には上限が設けられています。これにより、際限なく医療費を支払う必要はありません。夫婦で同じ世帯であれば、合算して申請できる場合もあります。リタイア夫婦は、貯蓄額とこの上限額を照らし合わせ、過剰な民間保険を解約して生活費に回すという選択も一つの知恵です。